Monthly Archives: 8月 2016

ルネサスがインターシルを買収する方向で最終調整

2016/09/13(火)の日経において正式は発表がありました。
買収金額は32億1900万ドル(約3250億円)で同社株主から現金で買い上げて完全子会社化するとの事です。

2016/8/22(月)の日経新聞によれば、ルネサスがインターシルを買収する方向で最終調整に入ったとの事。

買収額は最大で3000億円規模になる見通し。
インターシルはNASDAQに上場しており、ルネサスは一定比率のプレミアを乗せ既存株主から全株式を買い取る方針。(即ち、TOBですね)
買収資金は現在の手元資金(約4000億)を充て、銀行からの借り入れも検討するとの事です。
車載向け半導体の分野では現在第3位のルネサスですが、この買収によりNXPに次いで2位に浮上する可能性が高まっているようです。

ここ数年で半導体業界の再編が加速していますが、今年もまだまだその勢いは止まりそうにありません。

Nantong FujitsuがAmkorを買収?

DIGITIMESによれば、

中国語版のEconomic Daily News(EDN)が「中国のOSATであるNantong Fujitsu(南通富士通)がAmkorを買収する」と報道した

との事です。

Source: http://www.digitimes.com/news/a20160817PB200.html?mod=2

この買収が成立すれば、Nantong Funitsuは中国でNo1、世界ではASE+SPIL(シェア28.9%)に続く第2位(シェア12.7%)のOSATになるとの事。
また、Nantong Fujitsuは、今年(2016年)の前半にAMDのPenangとSuzhou(蘇州)の半導体後工程(組立/テスト/梱包など)の株式85%を取得したばかりです。

本当であればなかなか衝撃ですが真偽はいかに?

[コラム] 製造委託先監査について

今回は「製造委託先監査」についてお話してみたいと思います。

「監査」と言うと、例えば、監査法人が企業に対して実施する会計監査やISO認証機関が実施する監査などの知名度が高いかと思いますが、ここでは「製造委託先(会社)の組織、財務、品質(体制)、生産性、リスクマネジメント、対応力などの実態を総合的に把握し、ビジネスを進めていく上での課題や問題点を抽出、それらをコントロールしていくための業務プロセス」と定義して話を進めます。
ちなみに、英語では「Audit(オーディット)」で監査員の事を「Auditor(オーディター)」と言います。

はじめに、若干大雑把ではありますが、「監査」を実施する(であろう)4つの場面を挙げました。

(1) 新規取引にともなう監査
(2) 臨時監査(不良や変化点が発生した場合に実施する監査で品質監査が主体)
(3) 定期監査
(4) 顧客監査(お客様が主体となって製造委託先の監査を行う場合)

上記の通り、一言で「監査」と言っても様々な局面がありますので、個々の目的に応じて内容及びインプット/アウトプット(以下、I/Oと表します)も異なったものになります。

以下、順不同となりますが、各々について簡単に説明したいと思います。

まず、(2)についてですが、これは実際に品質やデリバリ等の問題が発生している状況、あるいは変化点の対象が明確になっている事から、

・不良原因や要因を特定する
・問題解決後の暫定/恒久対策が正しくとられているか、また、継続できる状態かを確認する
・変化点及び関連プロセスに対して問題がないかを確認する

などが主体となり、I/Oは比較的簡単に設定できます。

また、(3)に関しては、前回の監査で抽出された指摘事項やその間の量産の状況に応じて要求されるI/Oが決まるところがありますので、従属的な要素が大きいのが特徴的です。

さらに、(4)については(1)~(3)とは若干毛色が異なるところがあり、監査を実施する主体がお客様ですので、(お客様が)どのような観点で監査をされるのか?どの工程に重きを置かれていらっしゃるのか?など、製造委託先というよりはむしろお客様の動向を注視する方が有用でしょう。その意味では「顧客監査」については別業務プロセスとして扱う方が良いという考え方もあります。(筆者はこの考え方です)

このように見ていくと、当たり前なのかと思いますが、(1)における監査の難易度が一番高く、特にアウトプットとしての成果をどのように出していくのか?という事に一番頭を悩ませてしまうのではないかと思います。

勿論、チェックリストに沿って一つずつ品質状況を確認していく事は有効な方法のうちの一つではありますが、あまりにも通り一遍な方法ではアウトプットとして非常に希薄なものになってしまいます。
「製造委託先自身もイキモノ(生物)」であり、時々刻々と状況が変わっていきますので、監査当日に得られた情報は、あくまで今後のビジネス継続のためのインプット情報であるという事を意識した体系作りが必要になってきます。

また、

・顧客(自分達のこと)に対してどのような考え方を持っているのか?
・組織や人の力関係
・キーマン(誰を味方にしておくとビジネスがスムーズに進むのか?)
・従業員がどのような事に誇りを持ち何に不満を抱いているのか?

など、表に出にくい情報を得ておくことも後で役に立ったりします。
その意味では、休憩時間や食事などのOFFの時間も有効に活用しましょう。

最後になりますが、「監査をしている会社(人)は相手から監査されている」という事は非常に重要ですので一言付け加えておきたいと思います。

 

(文責:有冨智員)

[コラム] 品質コストマネジメントというツール

「品質の状況」を経営的な観点から測定するツールとして「品質コストマネジメント」というものがあります。

一般に品質を測定する場合、歩留や不良率、手直し率(リワーク率)、不良発生件数などの数値を用いる事が多いと思いますが、品質コストマネジメントにおいては基本的に「¥(円)」や「$(ドル)」などの単位で評価する事が特徴的で、これにより粗利や営業利益など財務諸表上(特に損益計算書(PL))の指標と同じ土俵に乗せる事ができますので、品質に関して会社の利益と連動した議論が可能になります。(当然ですが、2次的な分析においては歩留や不良率などの数値も必要になります)

具体的な方法論として、以下に一番有名なPAF法の概要を説明します。

PAF法とは、Prevention(予防)、Appraisal(評価)、Failure(失敗(不良))の頭文字をとって名付けられたもので、品質にかかわるコストを以下の4つに分類し分析をするものです。

PAF法による品質コストの分類

(1) 予防コスト

Prevention Cost

品質不良を未然に防止するために費やされるコスト
(2) 評価コスト

Appraisal Cost

品質を評価してそのレベルを維持するために要するコスト
(3) 内部失敗コスト

Internal Failure Cost

工程内(市場への出荷前)で発生した不良の対策のためのコスト
(4) 外部失敗コスト

External Failure Cost

市場出荷後に発生した不良の対策のためのコスト

予防コストは、品質マネジメントシステム構築のために要する費用全般となりますが、品質管理、品質教育・訓練などがメインとなります。また、プリセールス時にお客様のところに訪問し、品質に関する説明をするのに要した費用などもこの枠に含めて良いと思います。

次に評価コストですが、これは専ら製品(商品)の評価や検査に要する費用となります。

最後に内部失敗コストと外部失敗コストですが、不良が発生した場所、即ち、内部(工程内)か?外部(市場)か?という意味ではその内容は本質的には同じで、不良調査費用や手直し(リワーク)費用、廃棄処分された費用、対応人件費、旅費交通費などが分類されます。

ただし、金額の多寡や後のビジネスに与えるインパクト、即ち、お客様からの信用を失いビジネスをロストするという意味では両者には大きな相違がある事は注記しておきます。

これらの分類を行った上で、以下のような順序で品質改善を進めていきます。

  • 現状のステータス把握から次に目標とするステータスを設定
  • 各コストの内容分析とそれらの適正値判断
  • (2)の決定に応じた対策策定と活動実施
  • 状況のモニタリング(必要であれば修正を行う)
  • 結果の判断とフィードバック

品質の改善は一朝一夕で成しうるものではありませんが、それでも最大限の効果を得るためには適切な方向付けをする必要がある事は言うまでもありません。

特に内部失敗コスト及び外部失敗コストは、マイナスの利益(=損)以外の何ものでもありませんので、出来る限り0に近づけていくことが望ましいのですが、反面、予防コスト、評価コストに関しては単純に削減すれば良いという訳でもなく、バランスを考慮する必要があり、経営者の手腕に依存します。

最後に「品質コストマネジメント」はあくまでツールですので、導入しただけで品質が改善される訳ではなく、経営者を筆頭にそのツールから得られた情報からどのような意思決定をするのかが最重要である事を申し上げておきたいと思います。

 

 

(文責:有冨智員)