[コラム] 製造委託先監査について

今回は「製造委託先監査」についてお話してみたいと思います。

「監査」と言うと、例えば、監査法人が企業に対して実施する会計監査やISO認証機関が実施する監査などの知名度が高いかと思いますが、ここでは「製造委託先(会社)の組織、財務、品質(体制)、生産性、リスクマネジメント、対応力などの実態を総合的に把握し、ビジネスを進めていく上での課題や問題点を抽出、それらをコントロールしていくための業務プロセス」と定義して話を進めます。
ちなみに、英語では「Audit(オーディット)」で監査員の事を「Auditor(オーディター)」と言います。

はじめに、若干大雑把ではありますが、「監査」を実施する(であろう)4つの場面を挙げました。

(1) 新規取引にともなう監査
(2) 臨時監査(不良や変化点が発生した場合に実施する監査で品質監査が主体)
(3) 定期監査
(4) 顧客監査(お客様が主体となって製造委託先の監査を行う場合)

上記の通り、一言で「監査」と言っても様々な局面がありますので、個々の目的に応じて内容及びインプット/アウトプット(以下、I/Oと表します)も異なったものになります。

以下、順不同となりますが、各々について簡単に説明したいと思います。

まず、(2)についてですが、これは実際に品質やデリバリ等の問題が発生している状況、あるいは変化点の対象が明確になっている事から、

・不良原因や要因を特定する
・問題解決後の暫定/恒久対策が正しくとられているか、また、継続できる状態かを確認する
・変化点及び関連プロセスに対して問題がないかを確認する

などが主体となり、I/Oは比較的簡単に設定できます。

また、(3)に関しては、前回の監査で抽出された指摘事項やその間の量産の状況に応じて要求されるI/Oが決まるところがありますので、従属的な要素が大きいのが特徴的です。

さらに、(4)については(1)~(3)とは若干毛色が異なるところがあり、監査を実施する主体がお客様ですので、(お客様が)どのような観点で監査をされるのか?どの工程に重きを置かれていらっしゃるのか?など、製造委託先というよりはむしろお客様の動向を注視する方が有用でしょう。その意味では「顧客監査」については別業務プロセスとして扱う方が良いという考え方もあります。(筆者はこの考え方です)

このように見ていくと、当たり前なのかと思いますが、(1)における監査の難易度が一番高く、特にアウトプットとしての成果をどのように出していくのか?という事に一番頭を悩ませてしまうのではないかと思います。

勿論、チェックリストに沿って一つずつ品質状況を確認していく事は有効な方法のうちの一つではありますが、あまりにも通り一遍な方法ではアウトプットとして非常に希薄なものになってしまいます。
「製造委託先自身もイキモノ(生物)」であり、時々刻々と状況が変わっていきますので、監査当日に得られた情報は、あくまで今後のビジネス継続のためのインプット情報であるという事を意識した体系作りが必要になってきます。

また、

・顧客(自分達のこと)に対してどのような考え方を持っているのか?
・組織や人の力関係
・キーマン(誰を味方にしておくとビジネスがスムーズに進むのか?)
・従業員がどのような事に誇りを持ち何に不満を抱いているのか?

など、表に出にくい情報を得ておくことも後で役に立ったりします。
その意味では、休憩時間や食事などのOFFの時間も有効に活用しましょう。

最後になりますが、「監査をしている会社(人)は相手から監査されている」という事は非常に重要ですので一言付け加えておきたいと思います。

 

(文責:有冨智員)